こんにちは、僕です。
今回は大石昌良さんの楽曲『耳の聞こえなくなった恋人とそのうたうたい』の感想・レビューです。
こちらの楽曲は大石さんの6thアルバム「君に聞かせる物語」に収録されているバラード曲です。
「耳の聞こえなくなった恋人とそのうたうたい」大石昌良 D:浅沼晋太郎
ストリングスと柔らかで繊細な演奏で紡がれる曲で、曲のみを聞いていても美しい曲です。耳をすませばワウギターが聞こえてきたりと、意外な音も使われています。全体的な音に丸みがあって心地よく、元々楽曲を支える役目であるベースはまるで耳の聞こえない恋人に寄り添うため、歩調を合わせているようにも聞こえます。ドラムの音も角がなく、すごく優しいニュアンスで叩かれています。
曲名通り、ミュージシャンと耳が聞こえなくなってしまったその恋人を歌った曲ですが、これは大石さんの実話を元にしているそうです。音楽を使って心を動かす仕事をしているのに、恋人にはそれが伝わらないという想いや、別れた後に感じた伝える手段は言葉や音だけじゃないという想いが込められた歌詞なのですが、これがとても優しい歌詞なんです。僕は常々大石さんの人間性や生き様がかっこよくて尊敬できると言っていますが、改めて大石さんの優しさと心根の暖かさを感じさせてくれました。
聞こえないことは悪いことじゃないよ
伝えきれない僕が悪いよ
これは憶測に過ぎませんが、このリリックが生まれたきっかけは『大石さんの奏でる音楽が聞こえないことを恋人から謝られた』ことから生まれたんじゃないかなと思っています。
多くの人が聞こえないことを責めるようなことはしないはずですが、想いを伝えきれない自分が悪いんだと感じてしまう・言えてしまうのは、音で心を動かすことを生業とするミュージシャンだからこそでしょう。
僕はミュージシャンではないので想像することしかできませんが、一番大切で守りたい人には自分の音が届けられないという事実は本当に辛かったに違いありません。辞めようと思ったり、時には怒りをぶつけてしまうこともあったかもしれません。それを全て飲み込んで、伝えきれない僕が悪いと歌い続けられる人がどれだけいるのでしょうか。2番では「伝えきれない想いがあるんだよ」と歌われますが、大石さんはこの曲を歌い続けることで『想いを伝える手段はひとつじゃない』ということを届けてくれています。
余談ですが、この曲は冒頭に貼ったMVがとても良いので是非見てほしいです。初見で僕は思い切り泣いてしまいましたし、今でも見返すと来るものがあります。
それでは今回はこの辺りで。
お疲れ様でした!