エンタメ感想製作所

音楽や映画、ゲームなどの感想・レビューを素人なりに投稿。専門知識はないけど好きな気持ちは皆平等。

※セトリあり※【ライブレポート】UNISON SQUARE GARDEN Tour 2023 "Ninth Peel" at ぴあアリーナMM

お久しぶりです。
長らくブログを更新せずにいましたが、文章を書きたい欲が復活してきました。
なんと約2年ぶりに更新です。
また少しずつ、書きたいことができたら更新していきたいと思っています。



UNISON SQUARE GARDENの9枚目のアルバム「Ninth Peel」のツアーと銘打たれた今回のライブ。
いつものようにオープニングSEで「絵の具」が流れる中、メンバー3人がステージに姿を現した。
3人が揃い、いよいよ始まるぞと期待感が膨らむ中、「絵の具」がバツリと切られたかと思うと、斎藤宏介が歌い始める。

さよなら街灯り、ずっと愛してたよ

アルバムツアー1曲目に歌い上げられたのは、「Ninth Peel」の収録曲ではない
「夢が覚めたら(at that river)」だ。
様々な規制が撤廃され、以前のようなライブが戻ってくることを「夢が覚める」と表現したのか、それとも現実という「夢が覚めて」待ち望んだライブが始まったということなのか。
徐々に力が込められていくような演奏と歌声が印象的だ。

力強く1曲目を歌い上げたかと思うと、いきなり代表曲「シュガーソングとビターステップ」のイントロが鳴り響く。
これまでのツアーやライブでも比較的後半に配置されることが多かった曲だが、それを開幕2曲目に置いて最初からクライマックスの様相だ。
つまり、この曲を2曲目に配置してもなんら問題がないほど、このライブはさらに盛り上がっていくということでもある。

否応なしに期待が膨らむと、ここで初めてアルバム収録曲「ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ」のギターがかき鳴らされる。
同時にステージ背面に「Ninth Peel」という文字が光る装飾が輝き始めた。
これ以降アルバム曲の演奏中はほぼこの装飾が光るようになり、過去曲もたくさんやるけど主役はあくまでアルバム曲だ、ということを暗に示してくれていた。

そうなると当然、続く「Nihil Pip Viper」でも装飾は輝く。
抜群のキャッチ―さを誇る曲であり、すでにライブでも頻繁に演奏されている曲なだけに、観客たちもリズムに合わせて飛び跳ねる。
カラフルに輝く照明や装飾がより一層楽曲の持つポップさやキャッチ―さを増長してくれているようだ。
何度聞いても歌詞は難解、というか意味不明なのだが、それすらユニゾン流のキャッチーさの一つである。

ここでこれまでのような曲とは打って変わり、アルバム収録曲よりお洒落なシティーポップテイストの「City Peel」が演奏される。
ここまで飛ばしまくっていたライブだが、ゆったりとしたサウンドに観客も体を揺らして聞き惚れているようだ。

演奏が終わり、観客が拍手を送ろうとするのもつかの間、そんな暇はないと言わんばかりに「静謐甘美秋暮抒情」に繋がっていく。
異なるアルバムに収録された2曲が、まるで同じアルバムに収録された楽曲であったかのようなシナジーを見せてくる。
ニゾンのライブはリリースツアーであっても多くの既存曲が演奏されるが、新たにライブで演奏されることで全く新しい魅力や驚きを提供してくれるのだ。

そんな「静謐」な雰囲気で始まる「WINDOW開ける」だが、これも1stアルバム収録のかなり古い曲だ。
中々ライブで聞く機会の少ない曲だけに、イントロが聞こえた瞬間「おぉ!」と反応してしまった。
今現在の彼らの演奏と照明演出で表現されることで、やはり以前にライブで見たときとは違った印象を受ける。
サビで響く轟音は、中々ユニゾンの他の曲でお目にかかれない。

その轟音を引き継ぐかのように、「シューゲイザー」の名前を冠する「シューゲイザースピーカー」がフロアに響き渡る。
会場の天井を突き抜けるかのような演奏と歌から、ユニゾンのロックバンドとしての魅力やかっこよさをビシビシと感じられる曲だ。
既存曲に新たな味付けをして提供してくれるユニゾンのライブの真骨頂という並びだったが、田淵の仕掛けはまだ終わらない。

前2曲の轟音を更に引き継ぐ新曲が「アンチ・トレンディ・クラブ」だ。
皮肉も含まれた歌詞に鋭さを持つ演奏が織り交ぜられ、鋭利なのにキャッチ―さも損なわない不思議なバランスで演奏される。
徐々に激しさが増していき、観客も腕を掲げたり体を揺らしたりと、思い思いのスタイルで音に乗っている。

この勢いはまだまだ終わらない。
怪しく点滅する照明の中、斎藤宏介が歯切れよく歌う。

Drink up? Tune up! MIDNIGHT JUNGLE!

ステージ上に大量のスモークが炊かれる中、「MIDNIGHT JUNGLE」の始まりだ。
スモークの奥で浮かび上がるシルエットで確認できる大暴れの田淵は、さながら霧深いジャングルで遭遇した野生の獣だ。
こんな猛獣もしくは珍獣にミッドナイトのジャングルで遭遇することは御免被りたいものである。

観客のボルテージも最高潮だが、なんとここでもう一歩先へ熱気は進むことになる。
呟かれた曲名はユニゾン屈指の演奏・歌唱詰込み曲の「Phantom Joke」。
ライブになると音源以上の激しさを発揮する曲だ。
実際、恐らく貴雄のドラムの手数は音源以上だろうし、そのスピード感もさらに速いテンポで演奏されているように思える。
こんな熱気を見せられたら、それを見ている我々がもっと熱くなってしまうのも必然だろう。

ここでメンバーも給水するなど、一度演奏が止まる。
かつてはこういったポイントで客席からメンバーの名前が叫ばれていたものだが、今回はそんな声も聞こえてこなかった。
久しぶりで忘れられているのか、直前までの演奏の興奮冷めやらぬといった感じだったのかは定かではないが、ここで一度ブレイクといったところか。
演奏されたのは「Numbness like a ginger」。
ニゾンの新たなパートナーであるブルーロックの2期ED曲に採用された曲である。
気付けばライブも後半戦に差し掛かっており、バラード曲ではないがそういったクールダウンの意味合いもかねて、しっかり聞かせる曲をこの位置に置いたような印象だ。

続いてもう1曲、聞かせるタイプの曲が続くことになったのだが、聞こえてきた歌いだしに思わず驚愕の声が漏れだす。

だから今その声を捨てないで 喧噪の街 君を見つけた

15周年の大阪舞洲野外ライブで初めて演奏された、ある種幻の曲のような印象すらあった「お人好しカメレオン」が歌われたのである。
僕の周りでも驚きの声を上げる人がいたが、まさか演奏するとは思ってもみなかった曲だった。
何も特別な曲ではない、こうやって他の曲みたいに時々やるんだよということなのだろうか。
個人的にはそう受け取りたい、何せこの曲が大好きなのである。

ここで恒例となったドラムソロが挟まる。
凄まじすぎる手数の多さにただただ圧巻の一言なのだが、それだけのパフォーマンスを見せながらもマイクに向かって何かを叫んでみたりと、どこかユーモラスでもあるのが鈴木貴雄というドラマーなのだ。

そんなソロが終われば、こちらも恒例であるベースとギターが加わってのセッション→次の曲という流れに繋がる。
これが毎回楽しみで仕方なくて、「いったい何の曲に繋がる演奏なんだ!?」とワクワクが止まらない。
激しい演奏の最中、斎藤宏介が何やらテンカウントを数え始める。
そのカウントがゼロになったとき、スペースシャトルが打ちあがり、「スペースシャトル・ララバイ」が始まった。
ステージ背部にはツアーグッズにもあしらわれている惑星を模したシンボルが現れ、スペースシャトルに乗って新たな惑星に向かっていくような演出も面白い。
「希望だらけのスペースシャトル」に乗って、コロナ禍を超えた新たな世界にユニゾンが旅立たせてくれるのかもしれない。

そんなことを考えて勝手に感じ入っていると、この機会を逃すと果たして次に聞ける機会はいつになるのかわからない「カオスが極まる」のカップリング曲「放課後マリアージュ」が演奏される。
非常にキャッチ―な曲であり、ユニゾンあるあるのカップリングが表題曲クラスの典型のような曲だ。
サブスクでは聞くことができないカップリング曲でありながら、楽曲中の手拍子ポイントにしっかり反応するファンの多さには、こんな時代でもCDを買って聞き込むユニゾン曰く「物好き」たちの多さを感じることができて嬉しくもあり、それだけの「物好き」を生み出せるユニゾンというバンドの凄みも感じてしまう。

さぁいよいよクライマックスだと言わんばかりに、けたたましいサウンドを引き連れて「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」に突入。
田淵を筆頭に好き放題にステージで暴れる姿を見て、我々も飛び跳ねたりサビで歌ったりと、それぞれがそれぞれの方法でライブを楽しんでいる。
誰に煽られるでもなく、テンションの高鳴りに合わせて自然と歌ってしまったりするのが真の一体感なんだということを、僕はユニゾンのライブで教わった。
そんな光景が客席のあらゆるところで起きていたに違いない。

それは矢継ぎ早に響いてきた不穏なサウンドから始まる「カオスが極まる」でもそうだったろう。
ファンが一緒に声を出して歌える部分をコーラスとして曲の中に作ってある曲なため、きっと会場の色々なところで歌っている人、もちろん歌わずノッている人、様々いただろう。
このコーラスパートはサッカー作品である「ブルーロック」のタイアップなため、コロナ禍を終えて久しぶりにファンが歌える場所であることに加えて、サッカーの試合におけるサポーターの応援歌のようなイメージもあるかもしれない。

MCなしで駆け抜けるという、ここ数年のスタイルを今回も崩さず、
UNISON SQUARE GARDENでした! バイバイ! ラスト!」
そう締めくくられ最後に演奏された「恋する惑星」こそが、スペースシャトルでたどり着いた惑星なのだろうか。
ステージ背部の装飾もこのタイミングでさらに追加され、猫やアルバムアートワークにもあったリンゴ、音符やバンドロゴなど豪華に、そしてきらびやかでカラフルになっていく。
曲調も相まって、なんて幸福感に溢れた空間なんだろうか。
大仰な演出はしないしMCもない。
だけれどもアルバムの世界観をしっかりライブを通して伝えてくれる仕掛けを、演奏やセットリストの構成以外からも見せてくれるライブであった。
それと、装飾の中にあった「19」という数字にも、触れないわけにはいかないだろう。
来年ユニゾンは20周年を迎える。
わざわざ「19」という数字を出してきたのは、ある種今から既に20種年に向けたカウントダウンは始まっているということなのだろう。

大満足のライブが終わり、さてアンコール待ちの手拍子が始まるぞと思う間もなく、時間を見ていたが1分もしない間に袖に戻ったメンバーが帰ってきて
「おまけ!」
と言うと、「ガリレオのショーケース」が演奏される。
未だかつてこんなに早くアンコールが始まったことはないのではないか。
まさしくおまけと言うべきか。
お馴染みである斎藤さんと田淵によるギターとベースの追いかけっこが始まると、下手側で演奏していた斎藤さんが間に合わず田淵のマイクで歌ったり、それを見た田淵が斎藤さんを上手側に追い詰めてとうせんぼ。
挙句の果てにラストのサビ前では斎藤さん背後に立ち、マイクに向かって「(毎日)がっそー!」の部分を思いっきり叫ぶなど、思わず笑ってしまう姿を見せてくれた。
ちなみに2日目では斎藤さんの周りを田淵がかがんでぐるぐる回り、それに応じて斎藤さんも回転したり、斎藤さんとマイクスタンドの間を行ったり来たりするなどやりたい放題である。
MCでしゃべることはしなくとも、こうやって笑わせてくれるのはユニゾン3人のスキルとユーモアの為せる業と言っていいだろう。

そんなかっこよさも楽しさも笑いもひっくるめたライブを締めくくったのは

かくしてまたストーリーは始まる

から始まる「kaleido proud fiesta」だった。
今回のライブが終わりが、また次の始まりになっていくということを高らかに歌い上げた。
カラフルに輝くステージと、客席の照明が点灯され会場が光に包まれる様子は、「祝祭の鐘よ鳴れ」という歌詞にもあるように、かつてのライブが帰ってきただけでなく、新たな未来に続いていくということを祝しているかのようだった。

終わってみれば、当然のようにアルバム収録曲をすべて演奏しないという、リリースツアーもびっくりの構成なのだが、その分かつての楽曲たちが新たな色を帯びて見える。
そして予定されている追加公演や今後のライブで、今回演奏しなかった曲がどんな色を見せてくれるのか。
新曲すべてを演奏しなくても、そんな期待を絶対に抱かせてくれる。
そんなライブができるのはきっと日本にUNISON SQUARE GARDENしかいなくて、そんな彼らのライブだから、僕ら「物好き」は何度もライブに行きたくなってしまうのだ。

セットリスト

1.夢が覚めたら (at that river)
2.シュガーソングとビターステップ
3.ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
4.Nihil Pip Viper
5.City Peel
6.静謐甘美秋暮抒情
7.WINDOW開ける
8.シューゲイザースピーカー
9.アンチ・トレンディ・クラブ
10.MIDNIGHT JUNGLE
11.Phantom Joke
12.Numbness like a ginger
13.お人好しカメレオン
ドラムソロ
14.スペースシャトル・ララバイ
15.放課後マリアージュ
16.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
17.カオスが極まる
18.恋する惑星

encore
19.ガリレオのショーケース
20.kaleido proud fiesta



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