エンタメ感想製作所

音楽や映画、ゲームなどの感想・レビューを素人なりに投稿。専門知識はないけど好きな気持ちは皆平等。

※セトリあり※【ライブレポート】彼が夢を叶えた舞台には、箱いっぱいの幸せが詰まっていた オーイシマサヨシ ワンマンライブ at 日本武道館『オーイシ武道館』

アニソン界のおしゃべりクソメガネことオーイシマサヨシが、常々目標として口にしていた日本武道館ワンマンライブが、遂に開催された。
僕としても約10年前に「Go EXCEED!!」でアニソンデビューをした時から、オーイシさんのことは好きで聞き続けていた。
その中でオーイシさんの武道館にかける想いは知っていたので、これは是非とも一緒にお祝いしたいと意気込んでいたライブは、ずっと楽しくて笑顔でいたのに一生涙が溢れそうだった。
彼の歩んできたアニソンシンガーとしての足跡と、武道館にかける想いが、やっぱり武道館には魔法がかかっているともう一度信じさせてくれたのだ。

セットリスト

1.エンターテイナー
2.オトモダチフィルム
3.ギフト
4.好きになっちゃダメな人
5.死んだ!
6.なまらめんこいギャル
7.サインはB(TV size cover.)
8.Hands
9.英雄の歌
10.碧い砲撃
11.枕男子 〜トライアングル/大石昌良
12.楽園都
13.エレクトリックパレード
14.インパーフェクト
15.UNION
16.uni-verse
17.Go EXCEED!!
18.君じゃなきゃダメみたい

encore
19.僕らの箱庭
20.ドラゴンエネルギー
21.ようこそジャパリパークへ

誰も置いていかないライブ

エンターテイナー あんたのせいだ
僕の心がうずいてる

ライブが開幕し、最初に歌われたのは「エンターテイナー」だ。
心奪われたアーティスト=エンターテイナーとの出会いを歌った曲は、この日武道館に集まったファンの気持ちを代弁しているようだ。

1万を超える人が手を叩き大声を上げる

まるで今日この日のために作られたような歌詞に、会場から応えるような歓声が上がる。
おそらく武道館に立つ日を夢見て書かれた側面もあるだろう。
そう思うと、この曲から始まるのはピッタリで最高の始まり方だった。

人気曲でありオーイシさんのダンスナンバーでもある「オトモダチフィルム」が始まると、少し湿っぽく始まったライブも一気に晴れやかな盛り上がりを見せる。
ダンス曲が続き「ギフト」が始まる前、オーイシさんがMVでダンスを踊ったウーリャちゃんを呼べなかったとMCで語り、残念だなーなんて思っていたところ。
振りコピ勢がいるのを知っているから、代わりに今日の相方を会場のファンの中から選ぶという、とんでもない提案をしてくるのには驚きだった。
「フリーライブではやってたけど武道館でもやるのかよ!」と笑っていると、オーイシさんが「見たことある2人組がいる!」とアリーナ席を指差す。
映ったのは、オーイシさんのフリーライブ中、ギフトのダンスを完コピしている様子が話題となった2人組のオタク。

彼等はまた別のライブでオーイシさんに呼ばれて一緒に踊る経験が既にあるのだが、まさか武道館という舞台で一緒に踊ることになるなんて夢にも思っていなかっただろう。
本当にステージに上げて一緒に踊ってしまうオーイシさんもオーイシさんだが、見事踊りきった2人も大したものである。
「誰も置いていかないライブをする」
オーイシマサヨシが日頃から口にするライブの流儀を、客席を巻き込みながらこれ以上ないのではという形で実現している。

「死んだ!」と最新曲「なまらめんこいギャルではREAL AKIBA BOYZが登場。
楽曲の世界観をダンスで拡張し、とりわけ「なまらめんこいギャル」ではソロダンスのパートで大いに魅せてくれた。
この曲、めちゃくちゃアニソンしてて逆にちょっと得意な曲じゃなかったのだが、ライブで聞くとなんとも楽しい曲で好印象だった。
中々「ギャル! ギャル!」というコールを聞く機会はないだろうなぁ。

ここでオーイシさんらしいサプライズが。
オーイシさんが製作した楽曲「サインはB」のカバーをショートバージョンで披露。
予想こそしていた人もいただろうが、やはり曲が流れた瞬間の盛り上がりはとてつもないものがあった。
短い時間ながらも、武道館は一瞬にしてアイドルのライブ会場に変貌を遂げる。
ステージで歌って踊っているのが40歳を超えたおじさんとは到底思えない空気が、会場中に漂っていた。

“ヒーロー”オーイシマサヨシ

この日のライブはたくさんのヒーローがステージに降り立った日でもあった。
「俺色に染め上げろ! ルーブ!」
会場に響く声に応え、「Hands」ではウルトラマンルーブとロッソが登場した。
今でもゴジラが大好きで、幼い頃から特撮好きな少年だった僕としては、パシフィコ横浜ウルトラマンショーを見ていた頃の気持ちが蘇ってきてたまらない気持ちになってしまった。
ヒーローが登場した後に「英雄の歌」を高らかに歌い上げるのもにくいセットリストだったと思う。

世界を歌う主役より
君だけの英雄になりたい

紛れもなく、今日のオーイシマサヨシはファンにとっての英雄だったのだ。

いつでも素晴らしい歌唱力と演奏スキルを披露してくれるオーイシさんだが、今日は一際素晴らしかったと思う。
「碧い砲撃」では、突き抜けるような力強さを持ちながらも伸びやかな高音がファンを圧倒してみせた。
かなり難しい歌唱が要求される曲のはずだが、こんなにブレないことがあるのかという驚きすらある歌声だ。
「電気消して!」の歌詞に合わせて照明が落ち、オーイシさんと似ているローディーがステージに立っているお馴染みのやりとりが楽しい「枕男子」では、2度目の照明パートでなんと「大石昌良」がセンターステージに降り立つサプライズ。
(設定上)漢字の「大石」とカタカナの「オーイシ」はよく似た親戚なので、ゲスト登場ということになる。
大石昌良」の楽曲である「トライアングル」を披露すると、卓越したギタースキルを存分に発揮。
ギターヒーロー大石昌良として大いに魅了してくれた。

ヒーロー登場パートは更に続く。
怪獣ガギュラ襲来のピンチを前に「ダイナゼノン! バトルゴー!」と声が響くとダイナゼノンが登場。グリッドナイトも加えて怪獣とバトルをする中で「インパーフェクト」が歌われる。
目の前の光景は完全にヒーローショーのそれで、幼き日の想いがフラッシュバックするようだった。
オーイシさんのライブではアニサマなどで度々ヒーローショーが勃発するが、そのたびにたまらない気持ちになって泣きそうになってしまう。
ウルトラマンから既に感極まっている自分に追い討ちを掛けてくる展開なのだが、まだまだこんなもんじゃないと言わんばかりに怒涛のグリッドマンシリーズセトリに突入!
アレクシスケリブの襲来にヒーローの助けを求めると、盟友であるギターヒーローTom-H@ckが駆けつけ、「アクセスフラッシュ!」をみんなで叫べばグリッドマンも登場!
分かっていても熱くなってしまう「UNION」に大興奮だった。
「uni-verse」では照明が上がり、武道館が大合唱に包まれる光景が目に飛び込んでくる。
オーイシさんの作った曲達がこんなに大きなユニバースになったんだという感動たるや…。

オーイシマサヨシ」として歩んだ年月の結実

センターステージに2人残ったオーイシさんとトムさんが、出会ってからこれまでを振り返りながら「目があったら泣いてしまいそう」と笑う姿に、こちらが泣かされる。
「もっと大きくなる。いつか東京ドームに行こう」
そうして次の夢を語ったオーイシさん。
「出会った頃から武道館で歌う姿が見えた」と語るトムさんの瞳には、東京ドームで歌う姿が映っているだろうか。
2人が出会って今日に繋がった、全ての始まりの曲「Go EXCEED!!」でタオルを振り回しながら、その未来が来ることを願ってしまう。

本編ラストナンバーは「君じゃなきゃダメみたい」はまさしくこれしかないよねといった感じ。
オーイシマサヨシが始まるきっかけの曲と、オーイシマサヨシ初めての曲で締めるという、まさにこの10年間を総括するような構成だったと思う。
今更何か言う必要もないくらい鉄板だし盛り上がる曲だが、やっぱり武道館で聞くとひと味違って聞こえてきた。
歌うことの喜びを感じるようなボーカルを、この最終盤でも見せてくれるのだから。

アンコールでは新たなタイアップ曲「僕らの箱庭」、ニコ生⭐︎音楽王から生まれた「ドラゴンエネルギー」を披露。
特にドラエネはここに来て最高潮を更新する盛り上がり方で、みんな好きだねホント!って感じだった。(当然僕も好き)
フリップでコール部分教えてくれるの、一周回って斬新で、他で見たことがない。
大トリを飾った「ようこそジャパリパークへ」で、武道館が1万を超えるフレンズによる大合唱で大団円。
結果的には“シンガーソングライター”“アニソンシンガー”“アニソン作家”という、3つの顔で歩んだ道が辿り着いた武道館ライブになっていた。
何一つとして無駄なものはない道のりだったと、ステージから証明しているようにも見えたし、これからも信じてついてきてほしいという表明にも感じられた。

インストで流れていたジャパリパークの合唱で、名残惜しそうにステージに残るオーイシさんを送り出す場面は、ステージにも客席にも「幸せ」しかなかった。
振り返ると、武道館というひとつの箱はこの日、最初からお互いの「幸せ」で満たされていたのだと思う。
他の会場でも同じことはきっと感じられるはずだが、それでもこの感覚を格別だと感じられるのは、やっぱり「武道館」には魔法がかかっていて、オーイシマサヨシがそれを信じさせてくれたからなんだと思う。

来年3月に2度目の武道館が決定した。
夢だった舞台を経験し、いつか「大石昌良」として武道館に立つことも宣言してくれた彼が、次は武道館にどんな魔法をかけてくれるのか。
今から楽しみで仕方がない。

だからチケット取らせてくれよな! 次回の倍率ヤバそう!


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