エンタメ感想製作所

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【ライブレポート】修業期間を経て見せつける、過去・現在・未来のポピパ Poppin'Party『Breakthrough!』Day2 ”ドキドキ♪Special Day!”

夏の富士急から続いたBanG Dream! 8th☆LIVEの千秋楽に当たる、Poppin'Partyワンマンライブ『Breakthrought!』の2日目『ドキドキ♪Special Day!』が始まった。開演直後、愛美さんのインタビューが会場には映し出された。
彼女は今回のライブで「過去・今・未来のポピパを感じてほしい」と語った。
Poppin'Partyとして久々に世に放つワンマンライブで魅せたその姿は、確かに過去から未来へ続く一筋の線を感じさせるものだった


セットリスト

1.Breakthrough!
2.Returns
3.イニシャル
4.ぽっぴん'しゃっふる
5.Step×Step!
6.ときめきエクスペリエンス!
7.キズナミュージック♪
8.What's the POPIPA!?
9.Time Lapse
10.Hello! Wink!
11.ティアドロップス
12.Light Delight
13.ミライトレイン

EN
14.前へススメ!
15.Yes! BanG_Dream!

ポピパは1年以上に渡り修業期間と称してワンマンライブから遠ざかっていた訳だが、その中で培った経験が随所に現れていたように感じる。それは演奏面だけでなく、ポピパが持つエンタメ性であったりライブ演出にも反映されていた。

アルバム表題曲かつライブタイトルでもある『Breakthrough!』で幕を開けたライブは、新旧織り交ぜた様々な曲が演奏されたのだが、ライブ定番曲では富士急までには見られなかったアレンジ面での変化が見受けられた。
幾度となく演奏され、バンドリ外のイベントでも演奏される機会が多い『ティアドロップス』が最も分かりやすく変化していた曲だ。リードギターのアレンジが明らかに新しくなっていた。これまでは聞こえてこなかったフレーズがよく目立っていたのは、実際現地で来た人には一目瞭然だっただろう。

バンドとしての強度も7thライブと比較すると格段にレベルアップしている。
今回はミスが比較的多かった印象なのだが、それで演奏が乱れるようなことは一切なく、何ならミスをミスと感じさせない部分もあった。
その他の演奏部分でも明らかにスキルが向上していることを感じる場所もあった。特にラストで演奏された『Yes! BanG_Dream!』は上達が顕著に現れた曲だっただろう。
この1年の間にロッキン、CDJなど大型フェスに参加する機会もあり、バンドとして研磨されたことが分かる。『現在』のポピパのバンドとしての存在感、そして現在位置が窺える。

演出面では大きな進化を感じると同時に「ここまでやるのか!」という驚きもあった。
まず初披露曲である『Hello! Wink!』では客席と一緒に踊る振り付けが用意されていた。モンキーダンスを取り入れたものとなっていて非常に愉快な振り付けだ。個人的には東京スカパラダイスオーケストラのライブぶりにモンキーダンスを踊った。
これまでもCiRCLINGなど特定の動きをするような箇所がある曲はあったが、しっかり振り付けが用意された曲は初めてとなる。SILENT SIRENからの影響も感じる変化だ。

一転、記憶違いでなければ5thライブぶりに披露された『Light Delight』では、バックスクリーンに演奏している姿が映し出され、歌詞が表示されるだけのシンプルな演出でファンを引き込む。
ポピパの曲と言えば照明や映像演出も賑やかなものであることが多く、シリアスな曲であれば照明がかっこよく決めているのだが、この曲ではとにかく演奏と歌だけにフォーカスした。動的な演出だけでなく、こうした静的な演出も使い分けることでライブ全体が引き締まった。

ここまで二つ挙げてきたが、最も触れなければいけないのは『What's the POPIPA!?』だろう。
この曲、そもそもメンバーが楽器すら持たずサビでは思いっきりダンスを踊っていて、それだけでも「バンドなのにここまでやるか」感はあるのだが、この曲での驚きはこんなもんじゃなかった。

愛美さん、飛んだのだ。

「なんかスタッフが後ろでやってるな~」とは思っていたのだが、まさか飛ぶとは思いもよらず。「遂にここまでやったか」という気持ちと「ここまでやっていいのか」という気持ちが同居して笑いをこらえ切れなかった。

ライブ前、僕の予想としては1年半以上ぶりのワンマンライブなので、普段よりもバンドとしてのライブを見せつけるような内容になるかと思っていた。しかし始まってみるとファンミーティング的なコーナーがあり、バラエティー色も強いライブとなっていた。逆に言えば久しぶりだからこそ、ポピパらしい色を前面に出したかったのだろうが、ここまでやるとは。流石に予想できない。
普通に考えたらやりすぎなのだが、ポピパはこれでいいんだよなと心底思った。

再三言っていることだが、かっこよくライブもできるしバラエティー的な楽しさも出せる、何でもあり感がポピパのアイデンティティだ。それをこれまで以上のスケールで表現したのが今回のライブであった。これにはファンミーティングツアーの経験が生きているのかもしれない。
演奏面だけでなく演出面も含めて、この先どこまで進化していくのか。ここまでやったのならもう行けるところまで行きそうだ。そんな『未来』のポピパを感じさせてくれた。

新しい姿を見せてくれると同時に、それと合わせて懐かしい姿も見せてくれたのが今回のライブだ。
今回クイズコーナーがあったのだが、その前後でキャラクターのボイスドラマ的なパートが用意されていた。4thライブ頃まではよく見られていた演出だったが、ここ最近めっきりやらなくなった演出だ。

また『Light Delight』同様久しぶりの演奏となった『前へススメ!』もある。
僕の中でこの曲は4thライブで役目を終え、後に続く『Returns』や『ミライトレイン』にバトンを渡した曲だと捉えていたので、ワンマンで聞くことはこの先ないのではないかとまで思っていたので非常に驚いた。

こうした最近では見られなくなっていた演出や曲が組み込まれていた部分からは『過去』のポピパの要素を感じる。
久しぶりだからこそポピパらしさを前面に出したと書いたが、それと同時に久々だからこそすべての時間軸のポピパを体感できるようにしたのかもしれない。
過剰なまでの”Poppin'Party”を食わされて強制的にお腹いっぱいにさせられるライブだった。

MCの中では「背中を押すライブにしたい」という想いがあったことが語られていた。こんな時期だからこそ、そんな気持ちが強かったのだと思う。『Light Delight』や『前へススメ!』はそんな背景があったからこそセトリ入りしたのかもしれないし、新曲『ミライトレイン』にはまた新たな意味が加わったように感じる。『Yes! BanG_Dream!』を今この時期に大トリに持ってきたことの意味も考えてしまう。

ただ単に終わった後、楽しかったという気持ちだけが残るライブも素晴らしいが、今回はそこに加えて想像させる余白も残したライブだったのではないだろうか。
それは選曲やライブ演出もそうだし、修業期間を振り返るメンバーインタビューが流されたことも大きい。
この1年、新たなステージへの挑戦も多かったが、その裏側でどんな想いがあったのか。今日に至るまでどんな想いを抱えて活動していたのかが語られたことで、この2日間のライブにより奥行きが生まれた。
こういった考える楽しさを残してくれるのは、僕みたいな面倒くさいオタクには嬉しい部分だ。

ラストの映像では今後の目標も語られた。
Roseliaとの対バン、メンバーで作詞作曲、即興ソングのライブ。まぁ最後は置いておくとして、前2つは是非ともやってもらいたい。
Roseliaとの対バンはここぞという時まで勿体ぶりたいのだろうということは、Morfonicaとの対バンが先に決まったことで透けて見える。それならば作詞作曲くらいは早めに実現してもらいたい。
次のアルバムでやるんじゃないかと予想していたが、思い切ってシングルでもいいかもしれない。大塚さんはポピパとして思い描いた目標は殆ど叶ったと語っていたが、”ポピパ”として作詞作曲をするのは一つの明確なゴールとなるだろう。そして同時に”バンド”としての始まりでもある。
次はもっと多くの人を集めたいというフェスへの意欲も見えた。数々の目標を叶えてきたポピパが目指す次のステージは、バンドシーンへの本格的な進出になるかもしれない。



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