声優・バンドの深読み解剖研究室

知識のない音楽オタクが声優アーティストやバンドを深読みする。バンドリを始めに声優アーティストやバンドのディスクレビュー、ライブレポ中心に書いていきます。

【楽曲レビュー・感想】暖かくて冷たい現代社会に絶望しても、それでも生きる人達へ phatmans after school『メディアリテラシー』

こんにちは、僕です。

今回は楽曲レビューとして、phatmans after school(通称pas)のメディアリテラシーを紹介していきます。現在は名前を変更し、phatmans after school改めてsajiとして活動しているバンドの1stシングルに当たる楽曲です。今回はpas時代の曲についてのお話なので、呼び方はpasで統一しますね。

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僕がpasを知ったのは『ツキヨミ』からでした。その時の印象は「良い歌詞で泣かしてくるタイプのバンド」という感じ。個人的に『ツキヨミ』が気に入ったので、その後少しずつディグっていった感じです。当たり前ですがこれはバンドの1側面でしかなくて、調べていくと他にも色々な顔があるバンドだった訳です。
その中でも初めて聞いた時にすごく歌詞が入ってきて、痛烈に心に残ったのがこの『メディアリテラシー』でした。


phatmans after school「メディアリテラシー」

人が倒れていました 皆通りすぎました
誰もが救わぬまま 君は星になりました

それがニュースになりました 皆悲しがりました
けれど3日もすれば 誰もが忘れていました

匿名性のウェブサイト 日々繰り広げられる戦争
正義を振りかざした奴が プライバシーを侵害

過熱していく連日報道 学歴に侵される友情

現代社会の醜い面をこれでもかと歌う歌詞は非常に痛烈です。曲そのものは疾走感があってどちらかと言えば爽やかな印象を受けるだけに、歌われる内容がより浮き彫りになってきます。
今の社会はある意味全てが許され、誰もが平等である暖かい世界。それ故に毎日誰かが傷付き罵られ、そして死んでいく冷たい世界でもあります。そうして死んだ誰かを、顔も知らない他人が哀れみ、そして3日もすれば忘れていく。暖かくて冷たい世界はこうしてまた回るのです。

そんな世界と、その中で生きる自身への諦めと絶望が中盤までの歌詞で歌われています。

僕は最低な人間でした 人格を偽って 嘘ばかりさ
本当は悲しくなんかないんだよ だって自分のことじゃないから

きっとTwitterなどネット文化に触れて育った若者達の大半が共感できるし、周りと合わせるため自分に嘘をついて生きていくなんて殆どの人が共感できるでしょう。

ただ、この曲が一番伝えたいところはそういった絶望ではないと思っています。これはそんなくだらない世界で夢なんか叶わないと思いながらも、それでも自分を偽らず夢を持って生きることを肯定する歌です。
叶わないと知りながらも、それでも未だに夢を見ていくということを、ラストに向かっていく曲の盛り上がりと共に彼等は歌います。

それでも僕らは 未だに夢見ている

誰かの日々の夢の残りでも それでも僕らは かなわない梦といかなきゃな

とてもシニカルでニヒルに見える歌詞の世界観ですが、根底にはそれとは真逆な「夢を諦められない少年性」とも言える、熱い血潮が流れているのです。

がんじがらめの ちいさなぼくが
「うそつき」と ないていた

Dメロで突然歌詞が平仮名になり上記のように歌われることからも、何の疑いもなく夢を見ていた「あの日の僕」がずっと心の中で生きていることを表しています。だから意味がないと分かっていても、それでも夢といきたいと歌っているのだと、僕は受け取っています。

暖かくて冷たい現代社会の中、現実を知りながらもそれでも何者かになろうと足掻く全ての人に対して、この曲は救いにはならないかもしれません。けれどもきっと、少しの勇気と希望を与えてくれるのではないでしょうか。

最後に僕が一番好きな歌詞を添えて、今回は筆を置きたいと思います。

神様は今日も君じゃない 誰かの成功を願ってる

自分視点で見ればこんなに救いのない歌詞はないでしょう。ですが、俯瞰した視点から見れば、別の誰かの成功を願わない代わりに、自分の成功を願ってくれているのかもしれません。どこまでも救いがなくて何よりも救いのある、大好きな歌詞です。

それでは今回はこの辺りで。
さようなら!

メディアリテラシー

メディアリテラシー

  • phatmans after school
  • ロック
  • ¥255

メディアリテラシー

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  • 発売日: 2019/10/23
  • メディア: MP3 ダウンロード

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