新春とは言うが、まだまだ真冬の寒さな1月中ば。
昨年バンドリに芽吹いた新たな大輪Morfonicaが、2ndシングル『ブルームブルーム』をリリースし、一足早く春の到来を告げた。
8月の野外ライブにて鮮烈なライブデビューを果たした彼女たち待望の新作は、前作で不安だった要素をしっかり修正し、バンドとしての完成度は一段階上のステージに登ったように思える。
ブルームブルーム
重ためのギターサウンドとヴァイオリンの音色、そして儚さと芯の強さを併せ持つましろのボーカルが織りなすメロディーは、前作の表題曲『Daylight-デイライト-』を経てより高いレベルに磨き上げられている。以前はバランスが悪く感じていたボーカルとの関係性も、今回は違和感なく聞こえてくる。
モニカはギターが1本の構成ではあるが、場面によってヴァイオリンがギター的な役割を果たすことで擬似的なバッキング・リードギター2本構成を可能としているのも面白いところだ。
特に今回はヴァイオリンが一歩引き、主メロの上でまるで舞っているかのような滑らかさで奏でられている。不安を抱えながらも新たなことに挑戦していくことが歌われる曲の中で、ヴァイオリンが目立ちすぎると少々勇ましすぎるだろう。人の感情の繊細な部分を上手く捉えている。
新たな出会いと環境が待ち受ける春へ近付く1月半ば。この曲をお供に、勇気を持って新生活へ一歩歩みを進めてみるのも良いのではないだろうか。
flame of hope
雄々しく勇ましいヴァイオリンが曲を牽引し、それに負けじと真正面からギターがぶつかり合っていく。『ブルームブルーム』が一歩引くことで音の調和を取りに行った楽曲であるならば、こちらはその逆。メイン楽器となるギターとヴァイオリンが一歩も引かずに鎬を削る楽曲だ。
リズム隊も2本の楽器に遅れを取らず楽曲を支えることで、決してギターとヴァイオリンが暴走しているような印象を与えない。
これらが火花を散らしているとボーカルが負けてしまう心配もあるが、サビを筆頭に激しくやり合っている場面ではコーラスをふんだんに用いることでそれを回避している。ましろのボーカルが低音に強いことも、ボーカルが演奏に負けない存在感を持つことに繋がっている。
とにかく足して足して、なんなら掛け算までパワーを高め合わせることで逆に調和が保たれている。まさしく燃え上がるような熱量がある。
このストリングスの熱さは、同じくElements Gardenが楽曲を手掛けている『戦記絶唱シンフォギア』シリーズのそれに近い。シンフォギアをよりバンドサウンドに近付けた形がこの『flame of hope』という印象を覚えた。
元々迫力のある曲を奏でるバンドではあったが、ここまでの熱気を持った楽曲を見せてくれるとは思わなかった。ましろの性格もあり、闘争心を掻き立てるような歌詞や曲とは離れた位置にいると思っていたため、そんな曲が2ndシングルでやってきたのは驚きだ。
モニカというバンドの底の深さを見せると共に、ボーカルである進藤さん――ここでは敢えてそう呼ばせてもらう――への期待と信頼も感じさせてくれた。
おわりに
1stの時に感じたバランス感への不安は、2ndにして早速取り除かれたように思える。特に『flame of hope』をこの時点で成立させているのであれば、もう大きな心配はないのではないか。
思えばリアルバンドで活動する3バンドの全てで、2ndシングルに収録された曲の中にキラーチューンと言える曲が含まれている。モニカにおいてはそれが『flame of hope』になるのだろうと感じた。
ヴァイオリンという唯一無二の個性をどう活かしてくれるのか。引き続き楽しみにしていきたい。
それでは今回はこの辺りで。
さようなら!
- アーティスト:Morfonica
- 発売日: 2021/01/13
- メディア: CD