エンタメ感想製作所

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【ライブレポート】これこそバンドリ不動のセンターポピパのライブ Poppin’Party&前島亜美(丸山彩) with RAISE A SUILEN&Morfonica『Special Live ~Summerly Tone♪~』

バンドリ夏の野外ライブ3Daysも最終日。引き続き天候の不安はある中、いよいよポピパの出番がやってきた。
前日までのような単独ライブではなく、ポピパがメインを務める対バンライブのような形式のライブには、今回が初のステージとなる新バンドMorfonicaと、お馴染み丸山彩役の前島亜美さんがRASを携えて登場した。
久しぶりのポピパのライブは、ポピパのライブとはどんなものであったのかと、ポピパがバンドリの中心であることを改めて思い知らせてくれるものとなった。

セットリスト

1st.Morfonica
1.Daylight -デイライト-
2.chAngE
3.メリッサ
4.金色へのプレリュード
5.ブルームブルーム

2nd.前島亜美(丸山彩) with RAISE A SUILEN
1.きゅ~まい*flower
2.パスパレボリューションず☆
3.天下卜ーイツ A to Z☆
4.あっつあつ 常夏 らぶ☆サマー!
5.ゆら・ゆらRing-Dong-Dance feat.白鷺千聖
6.もういちど ルミナス

MA.Poppin’Party
1.Time Lapse
2.イニシャル
3.夏のドーン!
4.夏空SUN! SUN! SEVEN!
5.八月のif
6.ときめきエクスペリエンス!
7.STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜
8.ティアドロップス
9.ミライトレイン

EN
10.夢を撃ち抜く瞬間に! 8th☆LIVE ver.


今回OAはなく、Morfonicaの出番から始まった。
1曲目は『Daylight -デイライト-』。僕もブログでボーカルとヴァイオリンのバランスなど言及した曲だったが、音源とライブとでは随分印象が変わった。バンドとしてまとまってきたことや、各々が曲を掴んできたこともあるだろうが、この日は双方のバランス感もよく、非常に良いテイクとなっていた。

モニカへの期待感が一気に高まる中、続いてカバー曲2曲が演奏される。1曲目は『chAngE』。ここで事件が起きた。どうやら同期用にドラムが聞いているクリック音に不具合があったらしく、演奏が乱れ、あわや止まってしまうのではないかという場面が訪れた。
そこをドラム・ヴァイオリンのプロ組が上手くほかのメンバーと合わせたことで、止めることなく演奏を続けられたのだが、ここで最も素晴らしい仕事をしていたのが、ボーカルの進藤あまねさんだ。演奏が乱れる中歌い続けたからこそ、ドラムとヴァイオリンがメンバーと目配せして演奏を続けられたからだ。
僕は高校・大学と軽音部でボーカルをやっていたのだが、先輩から「演奏が乱れたとき、ボーカルだけは絶対に歌い続けろ」と教わった。演奏がずれたとき、ボーカルまで止まってしまうと完全に曲はそこで終わってしまうからだ。ボーカルさえ歌い続けていれば、楽器隊はそれを支点に演奏を再開することができる。

進藤さんにその意識があったのかどうかは定かではないが、人数を絞っているとはいえ野外の大型ステージが初お披露目のライブであるという、非常にプレッシャーのかかる状況で起きた事態で不安もあっただろうに、まっすぐ歌い続けたのは凄まじいメンタリティーだ。バンドの中心に立つボーカリストとして最も重要な能力を、進藤さんは持っている。これで16歳の現役女子高生なのだから末恐ろしい。

その後『メリッサ』以降では、これまで固い表情で苦しそうに歌っていた進藤さんに笑顔が見えるようになってきた。気持ちに余裕が出てきて、大舞台で歌うことを楽しむその姿は非常に堂々としていた。歌の安定感も増し、伸び伸びと歌う様に思わず心を奪われた。いや、正確には保護者気分だったというべきか……。満面の笑顔で歌えるようになったのを見て「良かった~」とか「楽しんでほしいなぁ」とかそんなことを思ってしまった。歳で言うと8歳しか離れておらず兄妹くらいの年齢差なので老け込むには早いなとは思いつつも、2004年生まれという表記を目にしてため息が出る感覚だ。


2組目は前島亜美さんが新衣装で登場。今更語るまでもないパフォーマンスだが、僕はパスパレ特別公演は見に行かなかったので久しぶりに見ることができた。
前回の記事で声が出せなくても僕には関係ないというようなことを書いたが、流石にパスパレの曲は声が出せない聞こえないことに対する寂しさを感じてしまう。パスパレこそ声を出せない分じっくりとパフォーマンスを楽しめたのでそれは良かったのだが、早くいつも通りが戻ってきてほしいなと思わされる。
ただ、そんな状況だからこそ実現したことがある。白鷺千聖上坂すみれさんの映像と合わせた『ゆら・ゆらRing-Dong-Dance』のデュエットだ。前島さん自身もいつかやりたいと言っていた念願のデュエットが、疑似的ながらもこの度実現した。衣装を着て歌う上坂さんを見るのは我々も初めてのことで思わぬサプライズだった。次はステージ上に二人が揃う姿を――欲を言えば全員が揃う姿をライブで見たいと、今後のライブに対する楽しみが膨らむ内容だった。


メインで登場したポピパはいきなり『Time Lapse』『イニシャル』とシリアスな曲で会場の空気を掴んでかかった。今回歓声が出せないメリットに「家虎が起きない」というものがある。『イニシャル』では曲終盤にブレイクがあるが、今回はその部分の沈黙が長めに取られ、雑音のない余韻がばっちり決まった最高のテイクだった。

夏曲3連弾ではコミックバンドさながらのお笑いもあった。前半との温度感の違いにも笑ってしまうが、この落差すら飲み込んでしまう懐の深さ――言い換えれば何でもあり感こそがポピパのライブだということを思い出させてくれた。
思えば最後のポピパのライブはCDJであり、そこではしっかりバンドとしての姿をアピールしていたので、バンドリの中でのポピパらしさからはみんなが長らくご無沙汰だったのだ。シリアスにもポップにも、クールにもコメディにも振り切れるポピパ一番の強みが存分に発揮されているパートだった。

初披露となった『ミライトレイン』や、アンコールで歌われた『夢を撃ち抜く瞬間に!』の友希那・レイヤと共に歌うアニメ最終回バージョンを聞きながら、改めてポピパこそがバンドリの中心で不動のセンターであることを実感した。
かつて7thライブのレポート記事でも触れた内容だが、バンドリの理念を最も体現し、中心でどっしり構えているのがポピパだ。Roselia・RASはそれぞれライブにおいて作り上げる異なった世界観があるが、ポピパは両者を含めた『バンドリで表現できるライブ全ての要素を内包したライブ空間を作る』ことができる唯一の存在だということ、2バンドのボーカルと共に歌うことで改めて見せてくれた。

shun0017.hatenablog.com

モニカ・前島さん・ポピパ。それぞれが今見せられる100%を見せてくれたライブだった。特にモニカは初ライブにして鮮烈な印象を与えてくれたのではないかと思う。応募予定がなかった秋の1stライブだったが、この日のパフォーマンスを見て応募することに決めた。彼女たちが10月までにどこまで成長するのかが非常に楽しみになった。
余談だが、奇しくも初ライブでカバー曲中に演奏が乱れ、それをボーカルが止まらないことで立て直すというのはバンドリ3rdライブにおけるRoseliaの初登場と同じシチュエーションだ。

秋にはポピパの単独ライブもある。その頃世界がどうなっているかは分からないが、どんな状況であれ今のポピパであれば何も問題はないだろう。
その先に見据えた更なるロックシーンへの躍進に、今から大きな期待を寄せたいと思う。



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