はてな日記大作戦

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【ネタバレ注意】全く新しいゴジラ作品と、最強最大ゴジラ爆誕 『GODZILLA 怪獣惑星』感想

どうも、僕です。遅ればせながら見てきました、怪獣惑星。個人的には面白く新しいゴジラ作品だと思ったので、せっかくなので久しぶりに感想記事を書こうかと思います。パンフレットも読んで書くので、なんか分かった風なことを言っているところはパンフに書いてあったことや表現を使ってると思ってください。当然ながらネタバレ注意ですのでご注意を。


あらゆる面で今までになかった新たなゴジラ

今回の怪獣惑星はどの角度から切り取っても、今までになかった全く新しいゴジラでした。リアリティを追求し、特撮ゴジラリバイバルさせたシン・ゴジラとは対極。アニメーションだからこそフィクション性を追求した作品です。アニメでやるとなった以上、この方向性は満点の解答なんじゃないでしょうか。アニメという今までになかった表現をするのなら、いつもと同じことをやっても意味がないんですよね。それこそリアルさというものは実写だから如実に表現されるものですし、特撮をアニメでやっても実写に勝てるわけがないのです。なので、アニメで存分にフィクション性を表現できる『SF作品』としてゴジラを描くことにしたのは、非常に良かったのではと思います。元来のゴジラにも宇宙人が出てきたりとSF要素はありましたが、怪獣惑星ではがっつりとしたSF作品へと変貌を遂げています。アニメになったこと、ゴジラを題材にしたSF作品になったことで、ゴジラを知らない人にも見てもらえるような間口の広さを獲得しているのではないでしょうか。
また、今作に登場するゴジラの設定も今までに例のない非常に新しいものです。なんと今作のゴジラ植物が超進化した生命体なのです。これには面食らいましたし、「生命進化の頂点」というゴジラのイメージを「樹木」と捉えて表現したのは本当に面白いなぁと感心しました。また、今までの恐ろしさよりも神のような神聖さをイメージしているようで、容赦ない暴れっぷりとは裏腹にその瞳はすべてを見透かしているかのような綺麗な瞳をしていました。2014年ハリウッド版のようなムキムキな身体は金剛力士像をモチーフにしたものらしく、生物らしい肉体ではない神格性を感じました。身体に苔が生しているのも、御神木のような印象を受けます。樹木故に2万年の歳月を生き続け、成長し続けたという本物のゴジラは冗談ではなく史上最大最強のゴジラです。全長300メートルってダントツですよ……。また金属元素を多量に含んだ非常に頑強な身体を持ち、自身で電気を起こしてそれを攻撃やバリアーに転じるという設定もまるで新しいものです。放射能を撒き散らすのは同じですが、動力源は電気なのはとても驚きました。他にも次世代のゴジラであったとはいえあのゴジラを人間が案外あっさりと殺してしまうところも、これまででは考えられなかったことだったのでちょっと驚きました。まぁあっさりしすぎていて絶対にまた出てくるんだろうなと思っていたのですが。

地球を追われた人類達の想い

これまでのゴジラシリーズにおいて、人類はゴジラに対して憎しみを覚えるというよりは自然災害に対する畏怖の念といった側面が強く出ていたように思えます。ですが今作におけるゴジラは人類から地球を奪った明確な“敵”であり、恐怖や憎しみの対象として描かれています。きっとこれはこれまでのゴジラ映画においては描かれるべき主役はゴジラであったため、人間側のドラマは余分なものとしてあまり描かれてこなかったことが関係しているのではないかと思います。それがアニメーションとなり、SF作品となったことで人間側にスポットが当たるようになったのかなと思います。
特に主人公のハルオは幼いころに目の前で両親がゴジラに殺されているため、ゴジラに明確な憎悪を向けています。それだけでなく、かつてゴジラと戦うことを諦め逃亡した人類への怒りも彼の中には同時に燃え滾っています。ハルオのゴジラへの憎悪が過剰で共感できないという意見も見られますが、彼の怒りの中にはすごすごとゴジラに地球を明け渡し、今となっては抵抗することも諦めたかつての大人世代への怒りも含まれていると思うと多少は分かりやすくなるかもしれません。きっと描かれなかっただけで、これまでのゴジラにもハルオのような人もいたのだと思います。今までの作品の中でここまで人間側に焦点が当てられたことは少ないでしょうし、分かりやすく主人公が設置されたこともあまりなかったのではないかと思います。そうしたドラマがあるので、ハルオが地球に降り立ち2万年前の建物に生えたコケ類が化石化し、かつての姿を保ち続けていたことを目にして口にした「この星は人類のことを覚えていてくれた」というセリフや、ゴジラに向けて帰還のための揚陸艇を発進させたときの「俺たちはもう帰ってきた。もう帰る場所はない」というセリフが生まれてくるのだと思います。個人的にこのセリフは非常に印象に残っています。ハルオを筆頭とした地球に住んでいた世代の信念や復讐心がよく伝わってきました。

保守的なファンには合わない作品

ただ、正直人を選ぶ作品なのではないかなというのが本音です。どういう人は受け入れがたいと思うのかというと、従来のゴジラ映画原理主義的な人達ですね。今作はこれまでのお約束やルールに即さない全く新しいゴジラだったので、これではゴジラじゃないと思う人も少なからずいるでしょう。僕から言わせてもらえば表現方法が違うのだからこれまで通りのことをやっても意味がないし、今までの法則に則って作られていないことは一目瞭然ですので、それを受け入れられないのは頭が固いと思ってしまいます。ですがそういった考えの方の言い分も十分理解できます。僕もゴジラ大好きなので、予想はしていたといえこの型破りっぷりには驚きましたから。なので、「ゴジラ映画はこうでなければいけない」という想いが強い人にはあまりオススメできないのかなと思います。そもそもそういう人に向けては作っていない作品なのかもしれませんが。

何を目当てにするかで評価は変わる

これも上述したことに繋がる話なのですが、この映画の何を見に来ているのかで全体の評価も変わってくるのではないでしょうか。今作はハードなSF作品ですので、前半から中盤までは人間ドラマが中心でゴジラがほとんど出てきません。SFらしくテクニカルタームも多く出てきます。そこを退屈だと感じる人も多くいたのではないでしょうか。そういった人はきっと、SF作品がそもそもあまり得意でない人か『ゴジラの活躍』を見に来た人なのではないでしょうか。従来作品ならば始まって間もなくゴジラが現れて大暴れするので、それを期待した人にとっては後半部分までは面白くなかったと感じても仕方がありません。ただ僕のように、最初からこれまでのゴジラとは違うものだと思って見に来ていた人やSF好きな人、人間ドラマが好きな人だったりそもそものストーリーが気になってきた人なんかは前半から中盤も退屈せず見ることができたんじゃないかと思います。後半のゴジラパートは大抵の人が文句なしだと思うので、見た人の立ち位置で全体の評価は変わってしまうのかなと。

まとめ

個人的には良い作品だったと思います。新たなゴジラの可能性を切り開いた、本当に新しいゴジラ作品だったと思います。SFらしい設定達も非常に面白いです。ただ、あまりに今までと違いすぎて受け入れられないゴジラファンも多いと思います。なのでシン・ゴジラのようにゴジラファンにも広く高評価を得られる作品ではないかもしれません。ただ、代わりにこれまでゴジラを見てこなかった人は先入観もないので見やすいと思いますし、ここから他のゴジラに入っていける間口の広さを生み出した作品だとも思います。シン・ゴジラとは対極に位置する立ち位置と書きましたが、ゴジラから派生した動植物が地球を支配していたり単一で子孫を作っていたりと、シン・ゴジラゴジラが行ったかもしれない可能性の一つが描かれているという対極にして繋がっているという、変わった形の作品でもあると思います。
また次回作がある作品なので、勝利の余韻に浸ることもつかの間、ラストは2万年を生きるオリジナルゴジラの笑えるほどの強さの前に蹂躙され、次作へ繋がる終わり方をするので綺麗にまとまって終わるわけでもありません。まぁこれは仕方がないですね。
個人的には次回作がとても楽しみな作品でした。この先メカゴジラが出てくるようですし、人間ドラマも大きく展開されていくのでしょうし楽しみです。今までのゴジラが「反核」といったテーマがあったように、今作のゴジラにどういったテーマがあるのかも明かされていったらいいですね。とりあえず近々前日譚の小説を買いたいと思っています。非常に面白いらしく、これを読んでから映画を見るとぐっと分かりやすいみたいですよ。

それでは今回はこのあたりで、さようならー。